荘主あるじ)” の例文
湯浴ゆあみ、食事なども、終ってから、王進は、荘主あるじ太公たいこうに会った。頭巾ずきんをかぶり、白髯はくぜんは膝にたれ、道服に似たものを着、柔かそうな革靴かわぐつをはいている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荘主あるじかうべたたみりて、御僧この事をなし給はば、此の国の人は浄土にうまれ出でたるがごとしと、涙を流してよろこびけり。山里のやどり八四貝鐘かひがねも聞えず。
荘主あるじよろこび迎へて、御僧の大徳によりて鬼ふたたび山をくだらねば、人皆浄土にうまれ出でたるごとし。されど山にゆく事はおそろしがりて、一人としてのぼるものなし。
荘主あるじかたりていふ。さきに二三下等しづらが御僧を見て、鬼来りしとおそれしも二四さるいはれの侍るなり。ここに二五希有けうの物がたりの侍る。二六妖言およづれごとながら人にもつたへ給へかし。