荒繩あらなわ)” の例文
新字:荒縄
毎年の厳寒げんかんには、深夜、凍天とうてんをいただき氷地を踏み、井戸端へ出て、荒繩あらなわで腹を巻きしめ、氷を砕いた水を頭からかぶって、丑満うしみつから独り道場入りを始め、夜の明けるまで
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
着物は完全な襤褸ぼろでそれに荒繩あらなわの帯を締めていたような気がする。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
滝つぼの辺へ行ってみたところ——荒繩あらなわの腹帯を巻き、れいを振り鳴らし、しぶきの中に、声も出ぬまで、経文きょうもんとなえている姿は、身の毛もよだつばかりであったとか、語っておりました。