荀彧じゅんいく)” の例文
すぐ相府に出て、着京の由を届けると、曹操は、荀彧じゅんいく程昱ていいくのふたりをして、鄭重ていちょうに迎えさせ、翌日、曹操自身、彼を引いて対面した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きくいえば漢の荀彧じゅんいく曹操そうそうにおけるがごとしともいおうかネ。あの西郷も僕にいわすれば。やっぱりそうだ。薩摩さつまの壮士に擁せられ。義理でもない義理にからまれて。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
許都を発するとき荀彧じゅんいくが毒をのんで死んだことなどが、なにか、丞相の心理に影響しているのではあるまいか、などとささやく者もいた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは荀彧じゅんいくの献策だった。こんどの戦いで、荀彧が口を出したのは初めてであるから、曹操も重視してその説に耳を傾けた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禰衡ねいこうの返辞は、まるで見当ちがいである。何をまた云いだそうとするのか、荀彧じゅんいくは面喰らったかたちで、眼をしばたたいた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許攸は鼻の上に皮肉な小皺こじわをよせて云った。それは先に曹操から都の荀彧じゅんいくへ宛てて、兵糧の窮迫を告げ、早速な処置をうながした直筆のものであった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これをみた荀彧じゅんいくはかなしんだ。以前の曹操とは次第に変ってくるのを冷静に彼のそばで眺めていたのは、彼よりは年下のこの荀彧という忠良な一忠臣だった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、丞相府じょうしょうふにあって、軍力政権ふたつながら把握している曹操が股肱ここう——荀彧じゅんいくなどの諸大将だった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耳に聞いておぼえておくがよい——まずそれにおる荀彧じゅんいく荀攸じゅんゆうはみな智謀ふかく、用兵に達し、いにしえの蕭何しょうかとか、陳平ちんぺいなどという武将も遠く及ばん人材である。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ばかなこととはなんだ。貴様も丞相から睨まれて、荀彧じゅんいく荀攸じゅんゆうみたいな終りを遂げたいのか」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は黙って、客のことばを聞いていたが、客が帰ると、荀彧じゅんいくをつれて、楼へ上って行った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、長安郊外まで来ると、都から荀彧じゅんいくの使いが、早馬に乗って、一書をもたらして来た。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許都に残っている味方の荀彧じゅんいくから来た使いである。もちろん書簡をたずさえている。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、荀彧じゅんいくまで出て、かかる奇能の才を殺すことは、やがて天下に聞えると、必ず丞相の不徳を鳴らす素因の一つに数えられましょう。殺すことだけはお止めになったほうがよろしい。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、酒宴をもうけ、その席へ、荀彧じゅんいくを呼んで、ともに時局を談じていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無能な小人輩は、甘言と佞智ねいちをろうすことを、職務のように努めはじめる。曹操のまわりには、つねに苦諫くかんを呈して、彼の弱点を輔佐する荀彧じゅんいくのような良臣もいたが、その反対も当然多い。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、それを諫めたのは、荀彧じゅんいくであった。——召抱えられた時、曹操から
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荀彧じゅんいくらにも励まされてか、俄然数万騎を増派して、みずから下知に当り
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に、荀彧じゅんいくは、二度ばかり曹操の前で、異論を立てた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と許したほどの人物、荀彧じゅんいくもその時にかかえられた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)