茜染あかねぞめ)” の例文
花輪といえば紫根染しこんぞめ茜染あかねぞめで聞こえます。日本にとっては大切な染物ですが、このことは陸中を語る場合にあわせて述べることに致しましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
茜染あかねぞめの暖簾や、紋を染めぬいた浅黄の暖簾などもある。或るうちの暖簾には、鈴がついて、客が割って入ると、すずを聞いて、遊女たちが、窓格子まで寄って来た。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この日は茜染あかねぞめの單衣若々しく、背中を往來に見せて坐つてゐたが、人が表を通る毎に、細い首をぢ向けて、眼の光りを投げかけることは、一人々々に怠らなかつた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
夜明よあけの色の茜染あかねぞめ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その装束さうぞくは、赤裸に茜染あかねぞめの下帯、小玉打の上帯を幾重にもまはしてしかとしめ、三尺八寸の朱鞘しゆざやの刀、つかは一尺八寸に巻かせ、こじりは白銀にて八寸ばかりそぎにはかせ
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、稚児ちごこものふたりは、茜染あかねぞめの手拭を払って、頭からかぶった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)