茂木もぎ)” の例文
橋本さんで朝御飯あさごはんのごちそうになって、太陽が茂木もぎ別荘べっそうの大きなまきの木の上に上ったころ、ぼくたちはおじさんに連れられて家に帰った。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「なに茂木もぎの方へ行きかけていたのを、私たちがつけてると思うもんで、わざと大浦の方へ曲がったんです。ヘッヘ。」
横浜の茂木もぎ、生糸の茂木と派手にその名がきこえていた、生糸王野沢屋の店の没落は、七十四銀行の取附け騒ぎと共にまだ世人の耳に新らしいことであろう。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この前雲仙にのぼった時は、茂木もぎから、船で小浜おばまに渡っているので、今度はわざと陸行を選んだのである。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
日見ひみ峠、茂木もぎ峠に布陣して長崎を見下し、使をやって若し宗門に降らざる時は、一度に押し降って襲撃放火し、その後、勢いに乗じて島原城を乗取るべしと定めた。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
八月の中旬横浜から上海シヤンハイ行の汽船に乗つて、神戸門司を経て長崎に上陸し、更に山を越えて茂木もぎの港にで、入海いりうみを横切つて島原半島に遊んだ後、帰り道は同じく上海より帰航の便船をまつて
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
長崎の茂木もぎみなとにかよふ船ふとぶとと汽笛きてきを吹きいだしたり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
茂木もぎの別荘の方から、乞食こじきの人が住んでいる山の森の方へも行った。そして時々大きな声を出してポチの名をよんでみた。そして立ちどまって聞いていた。
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)