花世はなよ)” の例文
終戦から四年となると、復員祝いも間のぬけた感じだったが、山川花世はなよの帰還が思いがけなかったせいか、いろいろな顔が集まった。
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「おう! これや初客はつきゃくじゃ! 富武五百之進とみたけいおのしん殿が、初客にござったとはかたじけない。——なに、花世はなよさんもご一緒か、これはいよいようれしい」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生田春月いくたしゅんげつさんが、花世はなよさんに求婚したのも、そんなふうな動機だった。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
死刑される当の人は中納言藤原泰文やすぶみの妻のきん子と泰文の末娘の花世はなよ姫、公子のほうは三十五、花世のほうは十六、どちらも後後のちのちの語草になるような美しい女性だったので
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
死刑される当の人は、中納言藤原泰文やすぶみの妻の公子きんこと泰文の末娘の花世はなよ姫で、公子のほうは三十五、花世のほうは十六、どちらも後々のちのちの語草になるような美しい女性だったので
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
顔色を見ると一向平素と変らないが、なにしろあまりひどい汗なので、一人娘の花世はなよが心配してたずねると、庄兵衛老、れいのお不動様の三白眼で、じろりと花世の顔をめあげ
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)