舎監しゃかん)” の例文
湯呑所ゆのみじょには例のむずかしい顔をした、かれらが「般若はんにゃ」という綽名あだなたてまつった小使がいた。舎監しゃかんのネイ将軍もいた。当直番に当たった数学の教師もいた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そこへ体操の教師を兼ねていた舎監しゃかんが見回りに来て、やがてその舎監のくつおとが寄宿舎の廊下に消えるころになっても、まだ話しこんでいるものがあります。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「この寄宿舎は自治制です。舎監しゃかんってものがない。上級生がモニトルを勤める。だモニトルは誰も帰って来ていないから、差当り音さんに部屋をめて貰い給え」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どこかで少しお金を工面くめんして、わたしと一緒に自分の生まれた町へ帰って、いいところのお嬢さん方を入れる寄宿学校を建てて、わたしをその舎監しゃかんにする、こうして
はじめはまるで見当もつかず、その男は私と話したこともない人間だったので困ったが、私は舎監しゃかんにも届け出ず、ひとりでとうとう犯人を見つけて白状さしたことがある。
雑文一束 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
母はこの女学校がまだ築地女学校と呼ばれてゐた頃の古い卒業生だつた関係から舎監しゃかんをしてゐる旧友に頼んでほとんど無理やりに秀子を入れてもらつたのだ。この母の冒険は成功した。
母たち (新字旧仮名) / 神西清(著)
わしは、珍客の来訪にあって、だだっ広い、合宿の舎監しゃかん居間の一室へしょうじ入れた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)