脳漿のうみそ)” の例文
旧字:腦漿
さつごとに、その鋩子きっさきから虹のように血をき、血は脳漿のうみそき、指のかけらを飛ばし、なま大根のように人間の腕を草むらへほうり出した。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父親の牛九郎の方は仰臥あおむけしたまま、禿上った前額部の眉の上を横筋違よこすじかいに耳の近くまでザックリと割られて、にわとりの内臓みたような脳漿のうみそがハミ出している。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
思いよらぬはまぐりの吸物から真珠を拾い出すと云うことわざがあるわ、腹を広く持て、コレ若いの、恋はほかにもある者を、とことばおかしく、兀頭はげあたま脳漿のうみそから天保度てんぽうど浮気論主意書うわきろんしゅいがきという所を引抽ひきぬ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
近頃は病院の拘禁室の中で、私の最後の最後の望みは、自分の脳漿のうみそを喰うことだ、それは食通の至り着くゴールだ……と言いながら、柔かい壁に自分の頭を叩き付けているということです。