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肯
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うけ
ふりがな文庫
“
肯
(
うけ
)” の例文
自己にあらずんば、自己の体感したものにあらずんば、自から
肯
(
うけ
)
がはれないのは、
蓋
(
けだ
)
し新時代の若い心の自然の現はれであらう。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「
覚
(
さ
)
めた結果としてそう思うんです」と答えた時の私には充分の自信があった。その自信を先生は
肯
(
うけ
)
がってくれなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そういう場面よりほかのところで女が活溌であることは何となく
肯
(
うけ
)
がいかねる感情をもったりして、自分の男としての情緒にそれをそのまま肯定しているのはどういうわけなのだろう。
職業のふしぎ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
嘘吐
(
うそつき
)
という言葉がいつもより皮肉に津田を苦笑させた。彼は腹の中で、嘘吐な自分を
肯
(
うけ
)
がう男であった。同時に他人の嘘をも根本的に認定する男であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
極めて自然に
肯
(
うけ
)
がわれる。
作家に語りかける言葉:『現代文学論』にふれて
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
必ず甲か乙かのどっちかでなくては承知できないのです。しかもその甲なら甲の形なり程度なり
色合
(
いろあい
)
なりが、ぴたりと兄さんの思う坪に
嵌
(
はま
)
らなければ
肯
(
うけ
)
がわないのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼らは第一に僕の弱々しい体格と僕の
蒼白
(
あおしろ
)
い顔色とを
婿
(
むこ
)
として
肯
(
うけ
)
がわないつもりらしかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
健三は心の裡で細君のいう事を
肯
(
うけ
)
がった。しかし口ではかえって反対な返事をした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は三沢のこういう憤慨を聞いて、少し
滑稽
(
こっけい
)
を感じたが、表ではただ「なるほど」と
肯
(
うけ
)
がった。すると三沢は「いやそれだけなら何も怒りゃしない。しかし
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
ったのはその
後
(
あと
)
だ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はその上に兄の神経衰弱も
肯
(
うけ
)
がった。しかしそれは兄の隠している事でも何でもなかった。兄はHさんに会うたんびに、ほとんどきまり文句のように、それを訴えてやまなかったそうである。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肯
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“肯”を含む語句
首肯
肯分
肯定
肯入
肯綮
北爾肯州
受肯
弁肯
御肯入
御首肯
肯定者
肯諾
肯首
首肯点頭