聞書きゝがき)” の例文
聞書きゝがきの主人公順慶は、内心秀次をかばう気があるのでその暴状を事々しくは述べ立てゝいないが、それでも次のように語るのである。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
がらに無い聞書きゝがきをするが、椰子やしが成長して実を結ぶまでには七八年を要し、の𤍠帯植物と同じく常に開花し常に結実するので、一じゆが一年に平均八十個の実を産し
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
聞書きゝがきはここに終る。文中に「私」と云つてあるのは、津下四郎左衛門正義の子で、名を鹿太と云つた人である。それだけの事は既に文中に見えてゐる。それのみでは無い。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)