置屋おきや)” の例文
明治四十一、二年の頃、浜町二丁目十三番地俚俗不動新道ふどうじんみちといふあたりに置屋おきやとなへて私娼をたくわうる家十四、五軒にも及びたり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
新之助はんも、乗り気で、それやろ、といやはるし、あてはあてで、芸者衆を五六人かかえて、そこで、置屋おきやもやる考えだす
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
何せよ、今思い合してみると、あの髪結かみゆいの鶴吉というのは、売笑婦の置屋おきやであったり、また世間見ずの女をたぶらかして来るぽん引きと呼ぶ渡世の人間です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今ではあの菊水の近所に茶屋や置屋おきやが一杯に建て込んでしまつたけれども、当時は閑静な原つぱのやうな所にあの鳥屋が一軒だけ、ぽつんと建つてゐたやうに覚えてゐる。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
監獄から帰った森新之助と、君香とが始めた「飛鳥あすか」という置屋おきやで、三味と踊りの出来る、年増としま芸者を探していると聞いて、そこへかかえられた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)