縋付すがりつ)” の例文
宮はやにはに蹶起はねおきて、立たんと為れば脚のいたみもろくも倒れて効無かひなきを、やうや這寄はひよりて貫一の脚に縋付すがりつき、声と涙とを争ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今では御本丸へ出仕するような身分になっているのを幸い、是非にもと縋付すがりついてごく内々ないないに面会を請うた次第であった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また打上ぐる波に呑去られてはたまらずと、海賊の巨魁きょかいが身を縛して死しいる大檣にシカと縋付すがりついて眺むるに、暗憺あんたんな海上には海坊主のごとく漂える幾多の怪物見ゆ眼を定めて見れば
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
はかまア穿かして、脇へ出ても富さん/\といわれるは誰がお蔭か、みんな惣次郎が情深なさけぶけえからだ、それを惣次郎の女房に対して調戯からかって縋付すがりついて、まアなんとも呆れて物ういわれねえ、義理も恩も知らねえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)