総曲輪そうがわ)” の例文
場末ではあるけれども、富山でにぎやかなのは総曲輪そうがわという、大手先。城の外壕そとぼりが残った水溜みずたまりがあって、片側町に小商賈こあきゅうどが軒を並べ、壕に沿っては昼夜交代に露店ほしみせを出す。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
男女ふたりが前後して総曲輪そうがわへ出て、この町の角を横切って、往来ゆききの早い人中にまじって見えなくなると、小児こどもがまた四五人一団になってあらわれたが、ばらばらとけて来て、左右に分れて
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)