網代屏風あじろびょうぶ)” の例文
右大臣の別荘も田舎いなからしくはしてあったが、宮のおやしきはそれ以上に素朴そぼくな土地の色が取り入れられてあって、網代屏風あじろびょうぶなどというものも立っていた。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
老人は、こうわめきながら、始めの勢いにも似ず、網代屏風あじろびょうぶをふみ倒して、くりやのほうへ逃げようとする。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
半分は繊細に優しく女王にょおうたちの住居すまいらしく設備しつらわれてあったのを、網代屏風あじろびょうぶというような荒々しい装飾品は皆薫の計らいで御堂の坊のほうへ運ばせてしまい
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
広くもない部屋へやの中には、くりやへ通う遣戸やりどが一枚、斜めに網代屏風あじろびょうぶの上へ、倒れかかって、その拍子にひっくり返ったものであろう、蚊やりをたく土器かわらけが、二つになってころがりながら
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まだよく家の中の装飾などもととのっていず、網代屏風あじろびょうぶなどという宮はお目にもあそばしたことのないような荒々しい物が立ててある。風を特に防ぐ用をするとも思われない。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)