継嗣けいし)” の例文
旧字:繼嗣
要旨は、七月一日を期し、清洲きよすに会同、主家の継嗣けいしのこと、明智の旧領処分の問題など、当面の重大懸案を議せん——というのであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで問題になるのは継嗣けいしのことである。六万三千石の所領と、家名血統と、ひいては全家臣たちのためには、どうしても世子がなくてはならない。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これは大木氏の継嗣けいしであった遠吉伯の手で、先代伯爵の東京遷都建白等について、その前後の経緯を纏めて編著された冊子があり、その書の公刊を見るに及んで
十三代の将軍が、わずかに三十五歳で亡くなった後に、幕府では例の継嗣けいし問題で騒ぎました。その揚句あげくに紀州から迎えられたのが十四代の将軍昭徳院殿しょうとくいんでん家茂いえもち)であります。
本皓には庶子があって、名を令図れいとといったが、渋江氏をぐには特に学芸に長じた人が欲しいというので、本皓は令図を同藩の医小野道秀おのどうしゅうもとへ養子にって、別に継嗣けいしを求めた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これは二十年以上もまえ、この藩にあった「壱岐どの騒動」という、領主の継嗣けいしをめぐる政争以来の騒ぎで、すべてが落着するまでに一年あまりを要した。
十八条乙 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まだ、口には出さないが、そのため、継嗣けいしの争いや閨閥けいばつの内輪事が、世間へもれることも極力さけようと努めているらしい。総じて、彼の方針は、事勿ことなかれ主義をもって第一としていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)