紺脚絆こんきゃはん)” の例文
紺脚絆こんきゃはんすねに当てて、腰に分銅秤ふんどうばかりを差している。もちろん町人で、しかもこの頃入って来た旅の者らしい。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふかいつづら笠に面体は隠れて、編目の隙に、きらりと眼が光るだけだが、道中合羽どうちゅうがっぱ紺脚絆こんきゃはん、あらい滝縞の裾を尻端折しりばしょって、短い刀を一本ぶっ差した二十七八しっぱちのまたたび姿。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
べんけいじま単衣ひとえ紺脚絆こんきゃはん、笠を抑えたらしい時、お綱はちょッと振り返って、何だか見たような男と思ったが、雨と風に吹き別れて、街道筋の旅人もみな散り散りに影をひそめてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)