紺泥こんでい)” の例文
光起みつおきの屋島合戦屏風も、切箔きりはくのくすんだ光と、紺泥こんでいの海と、那須余一の顔の胡粉ごふんなどが、ほのかに見えるだけである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
皓歯しらはでその、足袋の紐に口紅の附いたのを見て、晩方の土の紺泥こんでいに、真紅の蓮花れんげが咲いたように迷出して、大堕落をしたと言う、いずれ堕落して還俗だろうさ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なおかつ覚えただけの経文を、さっ金字こんじ紺泥こんでいに瞳に描いて試みたが、それかと思うのは更に分らぬ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)