紛論ふんろん)” の例文
そのとき、この紛論ふんろんに、あいそをつかして、慨然がいぜんと、席を突っ立った一将がある。本多平八郎忠勝ほんだへいはちろうただかつだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにも昨夜また今朝、一度ならず抱懐ほうかいの一端は申しのべたが、それがしの申すたびに、あなた方が反対召さる。座中ごうごう、紛論ふんろんをかもすのみで、何らの効もない。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻めいめい気儘の紛論ふんろんは、主君のおさぬが為に、はやあのざまと他藩にわらわれもしよう。……ともあれ、今宵は火之見ひのみ、御蔵方、それ以外の者は、すべていったん御帰宅のことじゃ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
評定は紛論ふんろんにおちいり、耿武の力説を正しとして、席を蹴って去る者三十人に及んだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紛論ふんろんは排されて、最初の方針が、ふたたび明示されたわけである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将軍家の一言が、すべての紛論ふんろんに、最後の断を与えた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)