紙包かみづつみ)” の例文
今日自家の祭酒に酔うた仁左衛門さんが、明日は隣字の芝居で、透綾すきやの羽織でも引被ひっかけ、寸志の紙包かみづつみを懐中して、芝居へ出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
三左衛門から紙包かみづつみを受けとって仏壇の前へ往き、うやうやしく扉に手をかけて開けたが、何かに驚いてあとへ飛び退すさった。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
俺は右手に提げた黄色い、四角い紙包かみづつみを船長の鼻の先にブラ下げてキリキリと回転さした。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
復一は紙包かみづつみを置いて立ち上った。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)