紅蓮こうれん)” の例文
紅蓮こうれん一茎ひとえだ白蓮華びゃくれんげの咲いた枯田かれたのへりに、何の草か、幻の露の秋草のあぜを前にして、崖の大巌おおいわに抱かれたように、巌窟いわむろこもったように、悄乎しょんぼりと一人、淡くたたずんだおんなを見ました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅蓮こうれん白蓮はくれんかぐわしきにかず
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
汽車で赤蝙蝠あかこうもりに襲われた、のちこの時まで、(ああ、涼しい。)と思えたのは、自動車で来る途中、山谷戸やまやとの、路傍に蓮田はすたがあって、白いのが二三輪、ひでりにも露を含んで、紅蓮こうれんが一輪
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)