糶上せりあ)” の例文
「こちらが菊人形の元祖、植半うえはんでござい。当年のご覧ものは、中は廻り舞台、三段返し糶上せりあげ。いちいち口上をもってご案内。サア、評判評判」
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
或人が四千五百弗まで糶上せりあげて落したそうだ。一体虎なんかは香具師やしの買うものだろう。
髪の毛 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
中でも、あばき合いで糶上せりあげられたのは、阿片あへん、魔薬、毒のたぐい、紫ギヤマンのびんや黒い薬塊やっかいを見ると、けいずいどもは、肉を争奪するけだもののように、仲間争いをして引きこみます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十貫、百と糶上せりあげるのに、尾を下にして、頭を上へ上へと上げる。……景気もよし、見ているうちに値が出来たが、よう、と云うと、それ、その鯛を目の上へ差上げて、人の頭越しに飜然ひらりと投げる。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)