精霊せいれい)” の例文
旧字:精靈
僕はその時はっと思いついた。ああまちは眠っている。だが狂酔と苦患くげんとは目を覚ましている。憎悪、精霊せいれい、熱血、生命、みんな目を覚ましている。
「確かあなたの御使いになる精霊せいれいは、ジンとかいう名前でしたね。するとこれから私が拝見する魔術と言うのも、そのジンの力を借りてなさるのですか。」
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、小人の妖精ようせいか、さもなければ、ほかの小さな精霊せいれいが来ているのではないかと思いました。
また敢えなく幾多の精霊せいれいを犠牲にいたした。この与右衛門の罪は大きい、何で、その村々の者からわしがきょうの祭りの馳走になれよう。……それは御領主にさしあげてくれ。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
秋の夜の目さましに、三〇そと見せよとて、すこしも騒ぎたる三一容色いろめなし。翁いふ。かく参りたるは、三二魑魅ちみにあらず人にあらず。君が三三かしづき給ふ黄金わうごん精霊せいれいなり。
大きなモロッコ皮の椅子いすと言い、あるいはまた滑かに光っている寄木細工よせぎざいくゆかと言い、見るから精霊せいれいでも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)