すゐ)” の例文
新字:
それが却つて、女には、野暮氣が拔けたとか、すゐになつたとか、本當の色男になつて來たとか見えるのであらう。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
江戸娘のすゐと言つたお秀は年こそ少し取り過ぎましたが、隨分思ひも寄らぬ罪を作つてゐさうな美しさでした。
いはゆるすゐとかいきとか、風流の道は、大川に流れてゐたが、震災ですべて過去となつてしまつた。
河風 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
いきで、世間馴てゐて、人一倍情愛が深く、一口にいへばすゐも甘いも噛みわけた人だらうと想い描いて居たのであつたが、現實の作家は、骨組のたくましい髯男で、みなりなんぞはぢゞむさく
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
「頼朝て、なか/\すゐなおツさんやないか。」と、伊之助は首を傾げた。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「なアに君、さう眞面目腐らんでも、遠藤さんはすゐなお方だよ」と、太つた禿げあたまの男がまぜかへし、「ねいさん、まア、さうぢや御座いませんか?」
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
事實伊達者だてしやつうすゐといはれる人達の内部生活が、思ひの外に貧しいのを、平次はマザマザと見せ付けられたやうな氣がして、これ以上追及する氣もなくなつてしまひました。
年増の美は下町のすゐだつたかともいへる。洗髮の凄艶なる姿——
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
江戸の文化もようやく爛熟しかけて、町人階級に金があると、つうにもすゐにも縁のないのが、せめて生き葬ひを出して馬鹿騷ぎをし、自分の人氣を試して見るのが面白かつたのでせう。
だから、俺はすゐをきかして、手前を用心棒にしてやつたのさ。中江川さんは年寄で、眼も耳も遠いから、三日經たないうちに、手前とお琴さんは、夫婦約束位出來るだらうと思つたんだ。
勘兵衞の女房の妹の配偶つれあひといふ、近いやうな遠いやうな關係の久藏は、若い時分からの道樂者で、すゐに身を喰はれた揚句あげく、小唄や物眞似を看板に、吉原の男藝者幇間ほうかんになつたこともありますが