粟粥あわがゆ)” の例文
落したかとあわてたが、よくよく考えてみると、さっきの庫裡くりで、粟粥あわがゆをふうふう吹いて食ううちに、粥をこぼしたので、脱いでおいた覚えがある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここには、崔道成さいどうせいという悪僧と、きゅうしょう一という行者ぎょうじゃの悪いのが、わがもの顔に住んでおる。……わしらはその二人に寺を奪われて、やっと粟粥あわがゆをすすって生きているばかりなのじゃ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粟粥あわがゆきんかゆ玄米粥くろごめがゆを銀の粥などと洒落しゃれていたのは、もう二十日も前の夢で、焼け跡の味噌や沢庵漬も掘りつくし、馬糧の燕麦も喰べてしまい、およそ喰えそうなものは、土をふるい
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「足軽や侍の喰っているのを見たら、玄米ではありません、粟粥あわがゆや芋粥です。それから、荷駄馬の骨が捨ててありました。馬の肉も喰べています。山中どこを見たって、豆俵も米俵もありませぬし」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)