米屋町こめやまち)” の例文
今の築地二丁目の出方でかたの二階へ引っ越して来た時には、女からもらった手切てぎれの三千円はとうに米屋町こめやまち大半あらかたなくしてしまい、のこりの金は一年近くの居食いぐいにもう数えるほどしかなかった。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで稼いでいるうちに、米屋町こめやまちで少しは名前の通った花村という年輩の男を物にし、花村がちょうど妻と死にわかれて、孤独の寂しさを身にしみて感じていた折なので、家へ入れる約束で
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
身柄はふにも足らぬ足軽頭あしがるがしらに過ぎざりしが、才覚ある者なりければ、廃藩ののちでて小役人を勤め、転じて商社につかへ、一時あるひは地所家屋の売買を周旋し、万年青おもとを手掛け、米屋町こめやまち出入しゆつにゆう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)