篠田しのだ)” の例文
奥さまのところへ、篠田しのださんという男のかたが来られました。奥さまよりちょっと年上の若いかたです。結婚まえからのお友だちらしいのです。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
聴水がうたへば黒衣が舞ひ、彼が篠田しのだの森をおどれば、これはあり合ふ藤蔓ふじづるを張りて、綱渡りの芸などするに、金眸ますます興に入りて、しきりに笑ひ動揺どよめきしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
御前ごぜん、訳ア御わせん。雪の上に足痕あしあとがついて居やす。足痕をつけて行きゃア、篠田しのだの森ア、直ぐと突止つきとめまさあ。去年中から、へーえ、お庭の崖に居たんでげすか。」
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
見越みこし、河太郎、かわうそに、海坊主、天守におさかべ、化猫は赤手拭あかてぬぐい篠田しのだくずの葉、野干平やかんべい、古狸の腹鼓はらつづみ、ポコポン、ポコポン、コリャ、ポンポコポン、笛に雨を呼び、酒買小僧、鉄漿着女かねつけおんな
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
篠田しのだと云う同窓の友がありまして、いつでもその口から、足下そっかもし折があって北陸道を漫遊したら、泊から訳はない、小川の温泉へ行って、柏屋と云うのに泊ってみろ、於雪おゆきと云って、根津や
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)