篠懸すゞかけ)” の例文
街路樹のベツドかと見えて、篠懸すゞかけの苗木が植ゑてあり、その間には紫陽花あぢさいなぞがさき亂れてゐた。さすがにその邊までは大阪のやうな大きな都會を中心に控へた村々の續きらしくも思はれた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
篠懸すゞかけの木よ、總大將が乘る親船おやぶね帆檣ほばしら、遠い國の戀に向ふはらんだ帆——男の篠懸すゞかけ種子たねを風に石弩いしゆみの如く、よろひを通し腹を刺す——女の篠懸すゞかけ始終しじゆう東をばかり氣にしてゐて定業ぢやうごふ瞑想めいさうする
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
篠懸すゞかけの葉はつばさたれし鳥に似て次々に黒く縺れて浚はれゆく。
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
篠懸すゞかけ一本木いつぽんぎよ、片意地の戀人たちよ、わたしの悲しい心のよろこび
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あゝ、神寂びし篠懸すゞかけ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
篠懸すゞかけ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)