立願りゅうがん)” の例文
其には、難波にあるそつの殿の立願りゅうがんによって、仏前に読誦とくしょうした経文の名目が、書きつらねてあった。其に添えて、一巻の縁起文が、此御館へ届けられたのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
案ずるに三七二十一日の立願りゅうがんの二十日の夜は昨夜に過ぎて今夜しもこの咒咀主のろいぬしが満願の夜にあらざるなきか。予は氷を以て五体を撫でまわさるるが如く感せり。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
畳御幣は中にご立願りゅうがんの文句を書いてたたみ込むのが普通ですから、墨の跡の見えるのが当然ですが、しかしその書かれてあった祈願の文句なるものが、すこぶる不審でした。
よも天台の立願りゅうがんではあるまい。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに開運のきざしをすら見せなかったので、新たに八幡宮へ三七二十一日のご立願りゅうがんを掛けようとお参りにやって行くと、はからずもその境内にいぶかしきひとりの占い者が居合わせて