立居振舞たちいふるまい)” の例文
母御はあれは町方から上った者だが、武家の者のように立居振舞たちいふるまいが正しいといった。経之は、ただうなずいて見せた。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
しかしてここに更に一層唖然たらざるを得ざるは新しき芸術新しき文学をとなうる若き近世人の立居振舞たちいふるまいであろう。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼は腰を折りまげて、卓子テーブルの下をのぞきこむと、のろのろした立居振舞たちいふるまいとはまるでちがった敏捷びんしょうな手つきで、一抱ひとかかえもあろうという大きな硝子壜ガラスびんをとりだして、卓子の上に置いた。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
従って誰も彼も、立居振舞たちいふるまい常規じょうきいっしています。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
近所には別のあおぶくれの看護婦が、しきりに編物をしていたが、彼女は編物趣味の時間を楽しんでいるわけであって、管轄かんかつちがいのベッドに寝ている私の立居振舞たちいふるまいについては、まったく無関心だった。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)