トップ
>
窈然
>
ようぜん
ふりがな文庫
“
窈然
(
ようぜん
)” の例文
一が去り、二が
来
(
きた
)
り、二が消えて三が生まるるがために
嬉
(
うれ
)
しいのではない。初から
窈然
(
ようぜん
)
として
同所
(
どうしょ
)
に
把住
(
はじゅう
)
する
趣
(
おもむ
)
きで嬉しいのである。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この時館の中に「黒し、黒し」と叫ぶ声が
石堞
(
せきちょう
)
に
響
(
ひびき
)
を
反
(
かえ
)
して、
窈然
(
ようぜん
)
と遠く鳴る
木枯
(
こがらし
)
の如く伝わる。やがて河に臨む水門を、天にひびけと、
錆
(
さ
)
びたる鉄鎖に
軋
(
きし
)
らせて開く音がする。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しまいには遠き未来の世を眼前に引き
出
(
いだ
)
したるように
窈然
(
ようぜん
)
たる空の
中
(
うち
)
にとりとめのつかぬ
鳶色
(
とびいろ
)
の影が残る。その時この鳶色の奥にぽたりぽたりと鈍き光りが
滴
(
したた
)
るように見え初める。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
普通の同化には刺激がある。刺激があればこそ、愉快であろう。余の同化には、何と同化したか
不分明
(
ふぶんみょう
)
であるから、
毫
(
ごう
)
も刺激がない。刺激がないから、
窈然
(
ようぜん
)
として名状しがたい
楽
(
たのしみ
)
がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“窈然”の意味
《名詞》
奥深くほのかに暗いさま。
(出典:Wiktionary)
窈
漢検1級
部首:⽳
10画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“窈”で始まる語句
窈窕
窈
窈々
窈冥
窈娘
窈幻
窈渺
窈冥門
窈窈冥冥