稚心おさなごころ)” の例文
稚心おさなごころにもし余が姉に代りて死に得るものならばと、心から思うたことを今も記憶している。
我が子の死 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
遊びにきし時、その理由わけ問いたるに、何ゆえというにはあらず、飽きたればなりとのたまう。されど彼家かしこなる下婢かひの、ひそかにそのまことを語りし時は、稚心おさなごころにもわれ嬉しく思いみぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
稚心おさなごころに出て行く傭人のものあわれを感じたことを咏じたのであったが、この句はその裏で、新らしく来た傭人に子供というものは慣れやすいもので、早もう親んでいるのを咏じたのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)