稚児輪ちごわ)” の例文
稚児輪ちごわ姿すがたの牛若丸が笛にしめりを与えると同時に、突然苦悶くもんのさまを現わして、水あわを吹きながら、その場に悶絶もんぜついたしました。
七歳ななつのお美夜ちゃん……稚児輪ちごわって、派手な元禄袖げんろくそでのひとえものを着て、眼のぱっちりしたかわいい顔だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あれは稚児輪ちごわというのだろう、絵に見る牛若丸のような形の髪にっていた。またそれがよく映った。色白で眼の涼しいイエは子供の聯想れんそうで牛若丸のように私の眼に映った。
前途なお (新字新仮名) / 小山清(著)
どんな画家ゑかきでも、自分が物忘れをしてゐるうちに、稚児輪ちごわが高島田になつたと聞くと、流石に一寸変な気持もする。とりわけ襖越しにそれを聞いてゐる女房は、つい身に詰まされてほろりとする。
銀紙張りの薙刀なぎなたをこわきにかい込みながら、山車の欄干を五条橋に見たてて、息をころしころし忍びよると、髪は稚児輪ちごわにまゆ墨も美しく、若衆姿のあでやかな牛若丸が
かわいい稚児輪ちごわのお美夜ちゃんがねむそうな眼をして、それをいちいち配っている。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ひやめし草履ぞうりをひきずる先生の横に、ちょこちょこ走りのお美夜ちゃん……稚児輪ちごわの似あうかわいい顔で両袖かさねて大事そうに、胸のところにだいているのは、泰軒小父たいけんおじちゃんの一升徳利で。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)