神田明神かんだみょうじん)” の例文
神田明神かんだみょうじんの裏手、江戸ッ児が自慢のご明神様だが、あの裏手は、地つづきと言っていい湯島天神へかけて、あんまり賑やかなところではない。
三人は右を見、左を見して、本郷ほんごう森川宿から神田明神かんだみょうじんの横手に添い、筋違見附すじかいみつけへと取って、復興最中の町にはいった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私はまた坂のうち神田明神かんだみょうじんの裏手なる本郷の妻恋坂つまごいざか湯島天神裏ゆしまてんじんうら花園町はなぞのちょうの坂、また少しく辺鄙へんぴなるをいとわずば白金清正公しろかねせいしょうこうのほとりの坂、さては牛込築土明神裏手うしごめつくどみょうじんうらての坂
まいどの事ながら、女房はうつつの地獄の思いにえかね、勝手口から走り出て、自身の兄の半井清庵なからいせいあんという神田明神かんだみょうじんの横町に住む医師の宅にけ込み、涙ながらに窮状を訴え、助力をうた。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「なに、大丈夫ってことよ、おいらにゃ、神田明神かんだみょうじんがついてるのだ」
おいてけ堀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「七五三は人が出ましたろう。神田明神かんだみょうじんなぞ——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
木曾街道の終点とも言うべき板橋から、半蔵が巣鴨すがも本郷ほんごう通りへと取って、やがて神田明神かんだみょうじんの横手にさしかかった時、まず彼の聞きつけたのもその子供らの声であった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)