示威じい)” の例文
応援おうえんとして若ざむらい百二十人をそえ、示威じいどうどうとして、足柄裏街道あしがらうらかいどうから甲州路こうしゅうじをぬけて、武州ぶしゅう御岳みたけ参加さんかすることになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ダヴィッド同盟舞曲集(作品六)」は、「謝肉祭」ほど多彩な面白さはないが、クララに対するシューマンの情熱とも言い、理想主義的なシューマンの俗衆への示威じいとも解される。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
白張提灯の示威じいが、隊伍をくんで、家老のやしきへ行き、川上に、詰腹を切らせて、江戸へ行くらしいという噂をきいて、草雲は飛んで行った。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何ら、成算せいさんのない勝頼は、二連木にれんぎ牛窪うしくぼなどの部落を放火して、いたずらに示威じいして廻っただけであった。吉田城へはかからなかったのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵の諸城をしてまったく反撃に出るの余地もなからしめながら、龍王山の中軍、秀吉のいるところには、なお一万五千の大兵をそなえ、余裕を充分に示威じいしながらも
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わざと迂回うかいして来たのは、自分の選ぶ基地を有利にめ取るまで、この城から側面へ行動されるとうるさいし、十分な布陣を取れないおそれもあるので、その牽制けんせい示威じいとを目的にしたものだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長のを誇った示威じいでもあり、また、外人宣教師などに対する国際的意味も多分にあったが、もっと、重大な意義としては、親しく至尊しそん臨御りんぎょを仰いで、兵馬の大本を明らかにしたことであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後になって考えれば、杖の事なども、一種の示威じいだ。官僚臭だ。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)