硝子扉ケースメント)” の例文
「この部屋だけについていえば、あそこの硝子扉ケースメントなどは、もとの古ぼけた吉野障子より、たしかにプラスになっているはずですが」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
桃色の壁付灯のついた、むかしの長持部屋へ行くと、硝子扉ケースメントに寄ったところに食卓が出来て、石田家の三人が椅子に掛けていた。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こちらの土壇テラッスに向った大きな硝子扉ケースメントのそばには、気むずかしい顔をした学者らしい四人の青年が、途方に暮れたようすで椅子に掛けている。
明け放した硝子扉ケースメントの向うは、ゆるい起伏のある丘で、はるか遠いその稜線りょうせんのうえに、中世紀の城のような白い家がぽつんとひとつ立っている。
小松が硝子扉ケースメントをあけて庭へ出て行きました。それから十分ほどすると阪井が、「おい、ショベルは出ているか」とたずねますと、琴子の声で
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこからずっと向うへ長い廊下が延び、その端に大きな硝子扉ケースメント。その外は露台バルコンになっていて、そこに月の光があたっている。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一同は思わず息を呑んで耳をすましていると、露台バルコン硝子扉ケースメントをソッと閉める音がし、何者かが廊下の絨毯を踏んでこちらの方へ近づいて来る。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
すり硝子とニッケルを組み合わせた、モダーン・タイプの硝子扉ケースメントになり、なにやらの工匠たくみが彫った有名な欄間と、銀の引手のついた花鳥の絵襖えぶすまが取り払われ
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ノックしたが返事がないのでドアをあけてみると、パパは机の上にピストルのケースや油雑巾をだしっぱなしにしたまま、露台の硝子扉ケースメントの前に立って庭を見ていた。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いっぱいに開け放した硝子扉ケースメントから、薄荷はっか入りの、すがすがしい朝の海風うみかぜが吹き込んでくる。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
釘にかかっていた望遠鏡をはずすと、硝子扉ケースメントのところへ行って海の上を眺める。が、浮筏ラドオの上には誰もいない。白ペンキ塗りの筏が、酔っ払いのようにゆらゆらと体をゆすっているばかり。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)