破筵やれむしろ)” の例文
正面前の処へ、破筵やれむしろを三枚ばかり、じとじとしたのを敷込んだが、日に乾くか、あやしい陽炎となって、むらむらと立つ、それが舞台。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
喜兵衛はぬき足をして芒叢すすきむらのほとりに忍びよると、そこには破筵やれむしろを張った低い小屋がある。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と膨れて見える……この影が覆蔽かぶさるであろう、破筵やれむしろは鼠色に濃くなって、しゃがみ込んだ児等こどもの胸へ持上って、ありが四五疋、うようよとった。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
掃溜はきだめ破筵やれむしろまでも、肌すく白い袖で抱いたのである。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)