研磨けんま)” の例文
爾来研磨けんま幾星霜いくせいそう、千葉道場の四天王たる、庄司しょうじ弁吉、海保かいほ半平、井上八郎、塚田幸平、これらの儕輩せいはいにぬきんでて、実に今では一人武者であった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鋳造された品物の砂落し、研磨けんま、それの組立や塗装もこの工程にはいっているが、これはフキの日にはやらない。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
その一刀斎へ、地摺の青眼どのが、問われたことには、それがし、師匠よりかつて、地摺の青眼という秘太刀を習い、年来研磨けんまして、天下に敵無き自信を持ち得るにいたった。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一は研磨けんましたるもの、一は蕃野なるもの、「徳」と云ひ、「善」と云ひ、「潔」と云ひ、「聖」といふ、是等のものは研磨の後に来る、而して別に「情」の如き、「慾」の如き
諸国を周遊して少しもまなかったのは、それが単なる生活の方便ではなく、師弟ともに、武者修行としての「道」ひとつへ研磨けんまを志していることに変りはないからであった。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旅を研磨けんまの道とする——遊歴の方法は、ひとり武道家が武者修行としてしたばかりでなく、学問を求める学術の志望者にも行われ、僧門の、わけて禅家では、古くから行道の本則としていた程であり
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)