石橋思案いしばししあん)” の例文
何日いつだったか、一寸ちょっと忘れたが、ある冬の夜のこと、私は小石川区金富町こいしかわくきんとみちょう石橋思案いしばししあん氏のうちを訪れて、其処そこを辞したのは、最早もう十一時頃だ、非常に真暗まっくらな晩なので
青銅鬼 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
学校に近い駿河台するがだいに引越して、紅葉も寄宿し、八畳のへやに、二人が机を並べ、そのうちに、おなじ予備門の学生石橋思案いしばししあんも同居し、文壇を風靡ふうびした硯友社けんゆうしゃはその三人に
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
を読み、毎日々々通って写本した。その頃石橋思案いしばししあん幸田成行こうだしげゆきの諸君と知己になったのである。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
それから数月経って聞いたはなしだが、最後は石橋思案いしばししあん丸岡九華まるおかきゅうかもっぱら世話をしたそうだ。いよいよ重体となってから、九華はシュークリームが美妙の大好物であると聞いて見舞に一と折持って行った。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)