短銃ぴすとる)” の例文
と、奴さんは眼をみはったさ、白い手や白い顔がはっきりと暗い中に見えた、奴さんの右の手の短銃ぴすとるの音が大きな音を立てたのだ
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此方から短銃ぴすとると言た時に直様すぐさまはい其短銃ぴすとる云々しか/″\と答えたのが益々彼れの手管てくだですわ、つまり彼れは丁度計略の裏をかいて居るのです
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
寄て見ると左の拇指と人指し指とをいためて居りました——。えんから飛出した時暗がりから不意にり付けたのを短銃ぴすとるで受止めたが切先きが余つてきずつひたのです——。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
其時若し彼れがいえ短銃ぴすとるでは有ません短剣でしたと答えたなら貴方がたも之ほどまで彼れを無罪とは思わず彼れの工夫が破れて仕舞いましょう
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
奴さんが短銃ぴすとるを持ち出して往く姿をちらと見て、あとをつけて来た細君が抱きついたのだ、四阿屋の中には僕の影がおったさ、そこへ悪漢の青木が来る、書生が来るして
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人に勧められてつゞまり行くことは行つたが、皆んな二階に躍り込んで火花を散らして戦つて居るに、陸奥は短銃ぴすとるを持つたまゝ裏の切戸で一人見て居つたと云ふことです。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
余が甚蔵の室へ這入ると、彼は寝て居ながら直ちに短銃ぴすとるを取って余を狙い「身動きをすると命がないぞ」と威かした。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
やっこさんはふるひだしたが、たちまち引返してじぶんの寝室へ入り、机の抽斗ひきだしにしまってあった短銃ぴすとるを持って、はじめの処へ往き、また、枝葉の間から眼を出して、四阿屋のなかをかして見た
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼れ自分で殺したと白状して居るけれど伯父が何の刃物で殺されたか夫さえも知ぬじゃ無いか、君が短銃ぴすとるの問は実にうまかッたよ、彼は易々やす/\と其計略に落ちた
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)