瞑想的めいそうてき)” の例文
が、この青年はまだ決心がつきかねているのであった。彼はなんとなく瞑想的めいそうてきで、どこか放心したようなところがあった。
その寺は庭が広く、背後に老杉のしげった林があったので、彼の瞑想的めいそうてきな散歩に最も好ましい所であった。
これは当時ニジビの大司祭マッキ閣下と称し後に枢機官になったが、その瞑想的めいそうてきな長い鼻で有名だった。
が、こうして廃塔といっしょに、さっきからいくぶん瞑想的めいそうてきになりがちな僕もしばらく世問のすべてのものから忘れ去られている。これもこれで、いい気もちではないか。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その瞑想的めいそうてきな無邪気な態度が、葉子の内部的経験や苦悶くもんと少しも縁が続いていないで、二人ふたりの間には金輸際こんりんざい理解が成り立ち得ないと思うと、彼女は特別に毛色の変わった自分の境界きょうがい
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ものの哀れが東洋芸術の精随せいずいであることは言うまでもない。ドヴォルシャークが、派手はでなアメリカ人にも、理屈りくつ好きのヨーロッパ人にも、瞑想的めいそうてきな東洋人にも喜ばれるのはそのためである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
そうしていつも瞑想的めいそうてきで現実の事を好まなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼の目の瞑想的めいそうてきなひらめきを見れば、過去のある生活において、既に革命の黙示録を渉猟したもののように思われるのだった。彼は親しく目撃でもしたかのように革命の伝説を知っていた。
しずまって行くにつれ、葉子は今までの引き続きでまた瞑想的めいそうてきな気分に引き入れられていた。しかしその時はもう夢想家ではなかった。ごく実際的な鋭い頭が針のように光ってとがっていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ワグナーの楽劇の最後の頂点をなす作品で、きわめて瞑想的めいそうてきなものである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
芭蕉は瞑想的めいそうてきで、蕪村は感覚的なのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)