眼利めきき)” の例文
彼自身も、刀には眼利めききと、人にゆるされておりながら、そう云うのだった。そして、うれしそうな容子がつつめなかった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初期のそれらの茶器の美を、利休の眼力にのみ帰してよいのか。彼のほかにも眼利めききが決して少くはなかったのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
鉄砲洲てっぽうずの蔵屋敷に、尾州家江戸詰めの藩士が、友だちだけ寄りあって、刀剣眼利めききの会を開いている。
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あたしのようなものが眼利めききをするなんて、少し生意気よ。それにただ一時間ぐらいああしていっしょに坐っていただけじゃ、誰だって解りっこないわ。千里眼ででもなくっちゃ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「実はお前にお婿さんの眼利めききをしてもらおうと思ったのさ。お前はよく人を見抜く力をもってるから相談するんだが、どうだろうあの男は。お継の未来の夫としていいだろうか悪いだろうか」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)