相違ちがひ)” の例文
二人ともにわたくしの母よりも余程年とつてゐたらしいことは、人種の相違ちがひにも係らず、初て見た子供の目にも直に感ぜられた。
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
男といふものは女と同じやうに神様の玩具おもちやに過ぎないが、女には胸を押へると泣き出す仕掛があるのに、男にはそれが無いだけの相違ちがひだ。
『では、君、斯う言つたら——これはまあ是限これぎりの御話なんですがね、必定きつと瀬川君は斯の学校を取らうといふ野心があるに相違ちがひないんです。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ヂュリ (傍を向き)惡黨あくたうひとではおほきな相違ちがひぢゃ!……神樣かみさま、あのものゆるさせられませ! わたしは眞實しんじつゆるしてゐます。とはへ、おもすと、かなしうてなりませぬ。
と言つて、吾家近くまで子供を連れて歸りかけた頃、何を斯の兒は思ひついたか、しきりに御飯と御膳の相違ちがひを比べ始めました。父のが御膳で、自分のが御飯だとも言つて見るやうでした。