相生町あひおひちやう)” の例文
「それが不思議なんだ、親分。二人共本所相生町あひおひちやう惣十郎だなの五軒長屋に隣合つて住んでゐる無二の仲だと言ふんですぜ——」
しかし落語らくごは家族達と一しよに相生町あひおひちやう広瀬ひろせだの米沢町よねざはちやう日本橋にほんばし区)の立花家たちばなやだのへ聞きに行つたものである。殊に度々たびたび行つたのは相生町の広瀬だつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
相生町あひおひちやうの坂の方からは、送別の旗を先に立て、近在の壮年わかものらしい連中がいづれも美しく飾つた馬に載せられて、村の人達に前後を護られながら、静々しづ/\と引かれて来た。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
... こりやア面白おもしろ怪談くわいだんだが、おまへなにを知らないか、塩原多助しほばらたすけといふ本所ほんじよ相生町あひおひちやう丁目ちやうめ炭屋すみや怪談くわいだんを」「知りませぬ」「さうかね、塩原多助しほばらたすけといふ炭屋すみや井戸ゐど内井戸うちゐどであつたさうだが、 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
井崎八郎と白狗しろいぬの勘次は、平次の僞手紙に釣られるとも知らず、宵闇の中を相生町あひおひちやうから深川の方へ向ひました。
川岸かしツぷちを相生町あひおひちやうの方へ少し行くと、物蔭から不意にガラツ八が飛出します。
平次は道順に無駄をしないやうに、川向うの相生町あひおひちやうを第一にしました。
「親分も知つて居なさるだらう、神田相生町あひおひちやうの、河内屋又兵衞——」
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)