目眩めまい)” の例文
どッぷりと厚ぼッたい夜がこめて来て、もう外には微光だも見えず、身は雲の中でも駆けているような目眩めまいをおぼえ出しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石見銀山というのは砒石だ、砒石の中毒はひどいのになると目眩めまいがして引付けるようになり、顫えが来て一ぺんに死ぬ、此家のお内儀がそれだ。
どうして自分はさっき首をらなかったのか、どうして江ノ島で海へ飛び込んでしまわなかったのか——便所へはいり、強烈な消毒薬を嗅ぐと、ふらふらと目眩めまいがした。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
が、時々、清二は「ふらふらだ」とか「目眩めまいがする」と訴えるようになった。顔に生気がなく、焦躁しょうそうの色が目だった。康子が握飯を差出すと、彼は黙ってうまそうにパクついた。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
おなか (疲れと飢のために目眩めまいを起す)
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
それから伝公は気違いのようになって、湯屋湯屋と血眼で探して歩いたが、もう目眩めまい嘔吐気はきけに堪らなくなったらしく、両手で頭を抑えたまま、真ッ青になって、自分の家に転げ込むや否や
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魯智深はぐらっと目眩めまいにくるまれて。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)