白緑びゃくろく)” の例文
見渡す限りの平坦な草原は、濃い橙黄色を基調として、ところどころに茶褐色と白緑びゃくろくとの斑点が、ぼかし染めに染め出されていた。
ツンドラへの旅 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
用いられた顔料は朱土しゅど白緑びゃくろく黄土おうど胡粉ごふん等。古き仏画には金をも用いたようである。紙地には黄土を引くのを通則とする。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
白緑びゃくろく斑点はんてんがまるで龍のからだのように見えた。がれた幹の生肌なまはだ二尺あまりのあとへ、墨の文字がながれにじんでいるのを見つめていると、木の生命いのちが感じられてくる。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹の櫺子れんじをつけたいかにも床しい数奇屋がまえなのに、掛軸はかけず、床柱の花籠に申訳のようにあざみ刈萱かるかやを投げいれ、天井の杉板に金と白緑びゃくろくでいちめんに萩が描いてある。
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
パイナップルの葉は、鮮やかな緑というよりも、白緑びゃくろくがかった浅い緑である。それで赤土との対照も、それほど激しくは感ぜられない。しかしとにかく、日本には無い色の世界を現出している。
ハワイの色 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)