病気やまい)” の例文
旧字:病氣
医師に見てもらうとその病気やまいだといって手当てをしてくれたけれど、別に痛くも何ともなかったから、そのままうっちゃっておいた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
この頃は病気やまいと張合ういさみもないで、どうなとしてくれ、もう投身なげみじゃ。人に由っては大蒜にんにくえ、と云うだがな。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうやって患者の身体に助太刀しているうち患者の身体自身に備わっている体温調節の機能はたらきが盛り返して来て、病気やまいを弾ね除けてしまいます。それを風邪が癒ったと言います。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
まあいわば、病気やまいのようなもので——。御隠居さんだって、覚えがおありなさるでしょうが、お互に、若え頃娘っ子に思いつくと、どうしても、物にしてえ、物にしてえで、寝つかれねえ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
いつでも村の御祭礼おまつりのように、遊ぶが病気やまいでござりましたが、この春頃に、何と発心をしましたか、自分が望みで、三浦三崎のさる酒問屋さかどいやへ、奉公をしたでござります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病気やまいが出るほど嫌な人でも、世間よのなかにゃ勝たれないから、たとい旦那が思い切って、縁を切ろうといってもね、どんな腹いせでも旦那にさせて、私ゃ、あやまって出てかない。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我は食客の身なれども、叔母の光を身に受けて何不自由無く暮せしに、叔母はさる頃病気やまいかかり、一時に吐血してそのゆうべあえなくみまかりぬ。今より想えば得三が毒殺なせしものなるべし。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)