疎略そりゃく)” の例文
吉五郎らの身許を知ったので、寺でも疎略そりゃくには扱わなかった。住職もやがて奥から出て来た。彼は納所らに指図して、書院めいた座敷へ怪我人を運び込ませた。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「御当代はもちろん、子孫まで、かならず疎略そりゃくはあるべからずとの、主人筑前守の、おことばでした」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやそのまま」と云いながら葉之助は座を構え、「邸に妖怪あやかしいたる由、殿にも気の毒に覚し召さるる。拙者せっしゃ今日参ったはすなわち妖怪見現みあらわしのため。殿のご厚意疎略そりゃくに思ってはならぬ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
口々に邪慳じゃけんに言われても、手ですることには何の疎略そりゃくはなかった。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)