画舫がぼう)” の例文
或る華奢かしゃなる美術狂某がこの地に天然の趣味を欠ぎたるを恨み、吉野、嵐山の桜の花片を汽車二列車に送らしめてこれを御茶の水に浮べ、数艘の画舫がぼう
四百年後の東京 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
楊州で画舫がぼうを漕いでくれた母親の方にはまだまだ昔の支那が残っていたようである。私は秦淮の街にスケッチに出かけて、そういう女も写したりした。
中支遊記 (新字新仮名) / 上村松園(著)
陳の幼な友達に梁子俊りょうししゅんという者があった。南方へ往って官吏をしていて、十余年目に故郷へ帰ってきたが、洞庭を舟で通っていると、一艘の画舫がぼうがいた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
のちに芥川龍之介氏の「支那游記」をよむと、同氏もここに画舫がぼうをつないで、えんじゅ梧桐ごとうの下で西湖の水をながめながら、同じ飯館の老酒ラオチュウをすすり、生姜煮しょうがにの鯉を食ったとしるされている。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
娘と母親が漕ぐ画舫がぼうは五亭橋へ向っていた。
中支遊記 (新字新仮名) / 上村松園(著)