生返辞なまへんじ)” の例文
旧字:生返辭
「御就職のことで私が駈廻っていた間は下にも置かないようにして下すったのに、御用済みになれば生返辞なまへんじばかりですもの」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
権十は、生返辞なまへんじだった。父娘おやこが二人きりの船世帯なので、十五の小娘を一人残して行くには忍びないらしいのである。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼をつぶってウト/\していた渡辺刑事は、突然に話しかけられたので好い加減な生返辞なまへんじをした。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
その人の妹娘というのであるから、私もむげに嫌というわけにも行かない。が、前申す通り境遇上、まだ妻をめとるに好都合という時機へも来ていないのであるから、私は生返辞なまへんじをしていた。
源十郎、いささか迷惑げな生返辞なまへんじ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
晁蓋の生返辞なまへんじが気にくわないのだ。「ははアん。俺をただの与太よたもンと見て、相棒には不足と考えたに違いねえ」そう思うと、酒が業腹ごうはらきつけて、我慢がならなくなってきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と三輪さんが生返辞なまへんじをした。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
弦之丞は、しきりとしゃべっている男の話には、よい程な生返辞なまへんじをしていながら、ひそかに笛嚢ふえぶくろの紐を解き、秘差かくしざしの一刀へ左の手をかけて、プツンと拇指おやゆび鍔裏つばうらを押しきっていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ? ……」と、菊王には、生返辞なまへんじしか出なかった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、これも、庄次郎の生返辞なまへんじを、うけつけない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)