生利なまぎき)” の例文
この棋というものが社交的遊戯になっている間は、危険なる思想が蔓延まんえんするなどというおそれはあるまいと、若い癖に生利なまぎきな皮肉を考えている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
徳「なんだア、てまえなんどは生利なまぎきに西洋物を売買うりかいいたすからてえんで、鼻の下にひげなんぞをはやして、大層高慢な顔をして居ても、碌になんにも外国人と応接が出来るという訳じゃアあるめえ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
青年どもが此頃のように生利なまぎきになったことは、4090
一冊は学科に関係のない事件の備忘録で、表題には生利なまぎきにも紺珠かんじゅという二字がペンで篆書てんしょに書いてある。それから机の下に忍ばせたのは、貞丈ていじょう雑記が十冊ばかりであった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
恋愛があるのないのと生利なまぎきな事を思ったが、向うこそ恋愛はないのであろう。そうして見れば、我が為めに恥ずべきこの交際を、向うがいつまで継続しようと思っているかが問題ではあるまいか。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)